2010年4月1日木曜日

コウノトリの聖地 ~Extremaduraへの旅2~


Extremaduraのポルトガルに面したCáceresという街へ足を伸ばしました。

現代的な建物を離れ、細く入り組んだ小道を行くと目の前にMurallaと呼ばれる石積みの高い塀に守られた旧市街が姿を現します。


かつてのローマ人が石畳を敷いたスペイン南部のMeridaから Caceres 、Salamanca、北部の Astorgaを通る主要産物の流通に使用された「銀の道」の一部です。





紀元前25年にローマ人によって築かれた事で始まったこの街、1時間ほどあればぐるり一周できる程小さいのですが、スペインの歴史がしっかり詰まった場所なのです。


ローマ人が去った後、5世紀頃に西ゴート族がその地を占領しますが、8世紀頃イスラム勢力によって復興されるまで街は衰退します。12世紀頃、度々起こるキリスト教からの攻撃を防ぐ為、現在に残る高い石塀Murallaが建設されます。


その後、15世紀に完全なレコンキスタが行われるまで、1つの街にキリスト教ユダヤ教、2つの宗教が混在する事になります。当時のユダヤ人地区は路地名に星印が入っています。今もまだ末裔が住んでいるのでしょうか。


15世紀以降、街には富裕層が競って家を建て、モスクは潰され、その代わりに教会が建設されました。


当時の建築物が素晴らしい状態で保存されているのという事で1986年ユネスコに世界遺産に登録されています。






ビールを片手にタパスを楽しむ人々が集うPlaza de Mayorから星の門をくぐるとそこは完全に時が止まった世界でした。各住居の壁には当時の名家の家紋が掲げられています。





途中、14~15世紀の建物がそのまま使われたPalacio de Los Glofinesというレストランで軽い食事を取りました。イベリコ豚の生ハム、ハモンべジョタはしっとりと柔らかく脂肪に甘味があり、さすが本場だなと感心しました。食後はもちろんLicor de bellotaどんぐりのリキュールを。食後酒で締めるのはスペイン人流です。


光の溢れるパティオでのんびりと気持ちの良い食事になりました。





見晴らしの良い丘に位置するこの街、急な坂道を登った後に見下ろす緑いっぱいの景色が印象的でした。羊や牛がのんびりと草を食む風景、当時とほとんど変わっていないのではないでしょうか。





旧市街から少し離れると、奇妙な風景に出くわしました。


線路沿いに等間隔で並ぶ電信柱、その上に何か大きな物が・・・コウノトリの巣です!!


更に進むと、コウノトリの住宅を発見!Extremaduraでは、コウノトリを保護しているそうで、電線などに引っかかるのを防ぐ為に、柱を立てその上に巣が作れるようにしてあるそうです。










コウノトリがのんびり散歩をする野原の真ん中にMuseo Vostell Malpartidaという現代アートの美術館がありました。羊毛の加工工場だったという古い建物を利用したこの美術館、オノヨーコが所属するアート集団FLUXUSの作品が数多く展示されています。


難解な作品もあったので、ガイドさんをお願いしてひとつずつ丁寧に説明して頂きました。


美術館に行くとものすごく疲れてしまうのは私だけでしょうか。がやがやした作品の詰まったギャラリーを一歩出ると、何も無かったかのようにコウノトリが巣作りの枝を集めて優雅に羽ばたいていたので、どこでもドアで瞬間移動でもしたような気分でした。






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